息子カヌー
 直島から帰っての翌日である。少々疲れは溜まっているが、聴けば午前中に時間があるとのことで、2週間後に控えた小学校の学習発表会で演奏する「パンフルートの曲」の練習に「旭川」河川敷に息子と行く事にした。行きの車の中で「そう言えば、今年はまだ息子とカヌーに乗っていない」ことが判明。急遽予定変更。『備前の風』工房の2階に上げている8艇のカヌーのうち2セットを車に積み込み、いざ旭川へ。今日も最高の天気で旭川上空は晴天である。半袖で充分。カヌーの用意をして、二人それぞれ川に繰り出す。空気はとても暖かいが水温はさすがに「冬の近づきを感じさせる」冷たさであった。1年ぶりのカヌー体験に息子はとても喜んでいるようだ。
 思えばアウトドア・インストラクターを職業にしていて、家族にはろくにアウトドア体験させられず、気がつけば息子が「テレビっ子」になりかかっていたため、思いきって業界から足を洗い帰郷を決めた私にとって、日曜日に「わずかな時間」ではあるが息子とカヌーに、しかもタンデム(二人乗り)ではなく、各自のカヌーで川に漕ぎ出せるようになったかと思うと、感慨深いものを感じてしまった。
 1キロ下流の堰で上陸し、パンフルートの練習と川遊びを少々。時計を見れば11時を回りそうなので、大急ぎで帰路に着いた。今日の息子との体験は、明日からの私の活動にたくさんのエネルギーを与えてくれるものになった。それからもうひとつ、嬉しかったのは… 今までハスキーな音でしかパンフルートを吹き鳴らせなかった息子が、まだまだではあるが「澄んだ音」を出せるようになって来たことである。呼吸のコントロールも少しずつ身に付いてきているようだ。門前の小僧…である。いつか将来、息子とステージに立てたらな… そんな思いが今の私の淡い夢である。