4月である。春である。先月までのごたごたも、月が変わったことだし、新たなスタートのつもりで、フレッシュな気持ちで前に進んで行きたい。今月は岡山県内10数カ所コンサートツアーを行う。それはJAの各支部に組織されている女性部という集まりの総会で1時間前後演奏させてもらうツアーである。昨年秋に、岡山県のJA関係者が数百人集まる行事で演奏させてもらったのがきっかけで、今回の女性部総会で各支部からお声がかかったのである。言うなれば口コミの一種といえよう。
 今日、そのコンサートツアーの皮きり、初日であった。比較的小人数の五十名ほどのご婦人方の前での演奏である。これくらいの人数が、聴いてくださるみなさんの顔がはっきり見えてちょうど良い具合である。私の場合、パンフルートの説明や、プロフィールや演奏家になったきっかけの話や、家族のことや演奏活動の武勇伝や、CDのPRなど… 楽しいトークも盛りだくさんなため、1時間という時間は決して長くないのである。案の定、15分ほど時間オーバーしてしまったが、みなさんとても楽しんでいただけたようで、演奏を終えてから何人もの方が目に涙を浮かべながら、感想をと言うよりも「感動した」と喜びの声を聞かせに来て下さった。
 ざっくばらんなリラックスムードのコンサート、耳なじんだ童謡・唱歌をやさしいパンフルートで奏でる心地よい時間。そして私自身、実家が農家であるためか… 農業・漁業・林業… つまりは第1次産業に関わる人達とは、妙に波長が合うのである。だからトークもいつも以上に弾むのである。それらの相乗効果からか、たった1時間が、聞いてくださった皆さんにはとても中身の濃い時間になっているようである。
 企業戦士にせよ自営業にせよ…働く男達は今大変な時代である。だが、女性たちも本当に本当に大変な中、凛として「笑顔」で頑張っているのである。そんな女性たちの目から溢れる涙は、どんな宝石の輝きよりも美しくて尊いのである。言葉にしてしまうと、歯の浮きそうなセリフではあるが、演奏中や演奏後皆さんのお顔を拝見して心底そう感じたのである。
 今月はJAとその他のコンサートで20箇所近く演奏させてもらう。1日2箇所という日もある。「今月は車検代や保険の支払があるが、なんとか食べていけそうである。」が正直なところであるが…JA女性部のみなさんとのコンサートが私をまた一回り大きくしてくれそうな、そんな予感を感じるのである。あさっては私の地元「高島JA」である。