10月下旬は競演の連続となった。筝奏者の山路みほさん、25弦筝ユニットの「心花」の二人、ピアニストの西村一穂さん。どの楽器もパンフルートととても相性が合うのである。

 山路さんとは、私が作曲した「かぐや姫組曲(仮称)」を共演していただき、独特の世界観を一緒に表現してくださっている。今月下旬には岡山シンフォニーホールで1時間のステージをごいっしょいただく予定である。

  心花の二人とセッションした「故郷」の演奏、これまたぐっとくるパフォーマンスを繰り広げることができた。

  そして西村さん、彼女とは一年ほど前に知り合い、本格的に共演するようになって半年ほどである。「誰も寝てはならぬ」の私の歌唱の伴奏もしてくださり、「歌とパンフルート」という私の独特のスタイルを今後一緒に発展させてくれるであろう、パートナーとも言える存在になってきている。レパートリーの幅も徐々に広がってきていて、来年には彼女との共演の機会をどんどん増やしていくことになるだろう。

 この3組の演奏家との共演を通して、繊細な表現力を磨いてこれたことは間違いないと思う。

 11月は出張の連続である。大阪ではライブハウスでの演奏。茨城県の筑波では学習塾での演奏。今のところ私のパンフルート演奏の北限は筑波である。大阪では歯医者さんの集まりでの演奏となった。

 そして翌週には東京に出張。来年の2月6日に東京で行われるコンサートの共演者である揚金(ようきん)奏者の金亜軍(きんあぐん)さんとの顔合わせ、そしてコンサート内容の打ち合せである。 私がパンフルートの音色を聴いてもらうために、童謡・唱歌を演奏すると、金さんは揚琴で即興の伴奏をつけてくださった。どう例えていいのか… まるで音のカーテンに包まれるようなそんな気分にさせる音色である。気がつけば、同席していた関係者のご夫人二人は感動の余りか涙をこぼしていたのには、ビックリさせられてしまった。

 その東京での打合せから数日後、今度は徳島県に出張である。剣山のふもとに位置する「美馬(みま)市立木屋平(こやだいら)幼稚園・小学校」。この学校の校長先生が、大阪のABCラジオの番組「おはようパーソナリティ道上洋三です」に私が出演したのを、通勤中にたまたま聴いてくださっていたのが、そもそものきっかけである。今回は地区の「人権教育研究会」での講演という、講師としての学校訪問となった。昼前に学校に到着、しばらくして給食の時間となり児童全員といっしょに給食を食べた。全校児童数が20数名という、絵に描いたような大自然の中の小さな小さな学校である。だから先生も児童も全員一緒にホールで給食を食べられるのである。まるで大家族の食事風景であった。その給食の前に、「パンフルート・ミニ・ランチショー」をみんなの前で10分間ほどさせてもらった。子供達の目が興味津々でキラキラしていたのがとても印象的だった。講演会は小学校の体育館で行われた。パンフルートのパフォーマンスと、第二の人生を演奏家として再出発するにいたった経緯の話や、全国のコンサート会場で起こった、心温まるエピソードなどの話をさせていただいた。結局、半日この学校にいたことになり、なんだかとっても好きな場所になってしまった。

 明日から二日間は鳥取でコンサートである。旅はまだまだ続くのである。10月末には実家の稲刈りも行われ、今年の新米が先日届けられて来たようである。飯の準備も完了である。いつでも旅の準備OKである。 しがない笛吹きだが、お声をかけていただく限り、全国どこへでも出向いて、切々と笛を吹きつづける。そのすべての行為が、私に勉強の機会を与えてくれている、そう強く思う今日この頃である。私の名前が「勉」だということに、最近妙に納得するのである。