2009年最初の日記である。前回からひと月以上間があいてしまった。年末年始はコンサートでいろんな経験をさせていただいた。クリスマス直前には、徳島県にある精神科の病院でコンサートをさせてもらった。私がNHKのニュースで紹介されたのを、たまたまこの病院の院長がご覧になったのが、そもそものきっかけである。ピアノの西村さん、彼女と一緒にマイカーに乗って、高速道路を走って訪れた。こちらの院長先生は私たちプロの演奏家の音楽が、精神科の治療の一環として充分役に立つという、治療成果の文章を全国誌に発表していらっしゃり、自分の音楽を医学的な側面から意識する良いきっかけを、今回与えてくださることになった。実はそのコンサート会場にいらした阿南市の保険センターの方から、今度は保険センターの行事で演奏してくれと依頼をいただき、3月10日再び阿南市で演奏することになったのである。
 今回の病院コンサートをきっかけに、昨年秋に立ち上げた「ホスピタル・パンフルート」(略してHP)の会に益々力を入れなくてはならないなと感じたところであった。それが何と年明け早々に、その会の賛助会員になってくださるという記念すべき第1号の方(Zさん)が現れたのである。Zさんは私のコンサートを主催してくださったりと、ここのところいろいろとお会いする機会の多くなった方ではあったが、正直「HPの会」のことはほとんどお話していなかったと思う。私のPR不足もあって、協力者がまったく現れない状態で、正直わたしもその会への意識が少し薄れていたように思う。そこへきて、精神科病院でのコンサート、そしてHPの会への入会者出現と… ひとつの方向に、なにか光がさしてきたような、そんな実感を覚えるのであった。
 年始のミニコンサートでは「紋付・羽織・袴」で演奏するという初体験もさせてもらった。某女性会の新年会という席でもあったので、ピアノの西村さんが「着物で演奏しましょうか」といったのがきっかけで、私も「和のフォーマル」を着ることとなったのであった。しかしレンタル衣装ではなく、自前で何とかならないかと西村さんのご家族や、家内のお母さんや、私の実家を総動員して「紋付・羽織・袴」を大捜索することとなったのであった。その結果、羽織・袴は私の実家から、紋付は家内の実家から、そしてその着付けは西村さんのお母様にお願いするというチームワークが出来上がってしまうという結果になった。
 いやー実にいい経験をさせてもらった。それにしても羽織・袴で演奏するクラシックの曲は、見ている側には結構「ミスマッチ感」があったかもしれないが…。「愛のあいさつ」とサン・サーンスの『動物の謝肉祭』の「白鳥」を演奏したのだが… 抹茶入りのクリームでつくったショートケーキみたいで、結構合ったかもしれないし… 
 さて、来月2月6日には、いよいよ東京での初ホールコンサートが行われる。会場のゆめりあホール(練馬区・大泉学園駅前)は170人ほどの客席数なので、主催者側の方でチケットはほとんどさばけてしまったようである。しかし私のHPを見て問い合わせ下さる方もいらっしゃるので、その席も確保するようにお願いしている状態である。今回、活躍分野が違う四人の個性がどんな風に絡み合って、どんな化学反応を起こすのか… 正直、まだ見えていない部分が多々ある。しかしきっとすばらしい会になるだろうという期待感だけはすごくあるのである。金さんの揚琴(ようきん)の音色と、村上氏、木村氏の語りと私のパンフルートがどんな空間を作り上げるのか… 実に楽しみである。
 このコンサートをきっかけに、今年は頻繁に東京に出向く機会を作っていこうと考えている。それこそ東京方面の公民館や宗教施設や病院や学校での演奏も積極的にやっていこうと思う。2009年もひきつづき、広く種蒔きをしながら「一吹入魂」の演奏を続けていきたいと思う。その種から、いつかきっと大きな花が咲くことを信じて。