11月7日、鳥取県八頭郡若桜町若桜にある浄土真宗本願寺派の正栄寺(しょうえいじ)での演奏に伺った。この日は「親鸞聖人750回大遠忌 お待ち受け法要」が行われ、大勢の信者の方や地域の方たち、そして海外からの留学生の方たちの前での演奏になった。法要、祝辞法話と続き、その後に演奏となった。楽器編成は筝2面、バイオリン1、パンフルート1という4人編成である。こういった演奏会はこのお寺では初の試みのようにおっしゃっていた。筝の2人は「鳥取てまり会」の美人母娘、このお二人とはここ数年毎年この時期にいっしょに演奏させていただいている。11月17日が同じ八頭郡の八頭町にある清徳寺(せいとくじ)の秋季大祭で、今年もいっしょに演奏させていただくことになっている。着物姿で筝を弾く姿には、うっとりである。バイオリンは地元の若桜中学校で先生をされている方。正栄寺にお集まりの年配の方の中には「先生、孫がいつも世話になっております。」と挨拶される方もおり、厳かな法要であるのだが、和やかで素朴で、心温まる人の集まりに、居心地の良さをとても感じてしまった。

2面によるわらべ歌メドレー、バイオリンが入って童謡唱歌や民謡をアレンジした曲の演奏、そしてバイオリンソロ・・・バライティに富んでいる。そののちにパンフルートのソロ演奏、といっても半分はおしゃべりしていたような・・・パンフルート漫談のような。そして最後は全員での演奏で浄土真宗本願寺派の方たちが歌われる歌に音楽をつけた。その曲の作曲者を見てみると、中田喜直や古関裕而といった日本人の心に残る曲を作ってこられた大家の作曲だったのでびっくりした。1時間の演奏が楽しいうちにあっという間に終わったような気がする。

空き時間にはお寺の周りの町を散策した。お寺の裏には若桜鉄道の終点「若桜駅」駅があり、駅前には地元で一番大きい総合スーパーがありその駐車場の周りには何匹もの地域猫が日向ぼっこや集会をしているのである。なかには車の屋根の上に寝そべって、昼寝を決め込む大猫もいたり・・・とにかく趣きある昔ながらの街並みのあちこちで猫を見かける、猫と目が合う、若桜の町なのである。自他共に認める「無類の猫派」(地域猫派とでも言おうか)の私にとっては夢のような町である。若桜の駅には小さな蒸気機関車(本物です)が動いており、専用の観光レールを往復しており多くの見物人が集まっていた。時折鳴らされる蒸気機関車の汽笛が山間にある若桜の街に響き渡るのを聞くと、旅愁で胸がいっぱいになるのである。歴史的にも興味をかき立てられるスポットが町中に点在している。ここでは書ききれないので控えるが、とどのつまりは「また来たい」若桜の町なのである。帰り道に買った「弁天まんじゅう」のモッチリした食感とうまさも思い出である。