1110日は広島で「パンフルート三昧」の半日を過ごした。世界的パンフルート奏者コーネル・パナ氏の広島コンサート&コンサート前のクリニックに参加させてもらったのである。パナ氏の演奏は4年連続で、神戸や高松などどこかで拝見しているが、その超絶技巧と称される演奏には、毎年舌を巻くはため息は出るはである。こんな演奏をするんだから、ストイックで、自分にも他人にもとても厳しく、もしかしたら排他的なくらいの性格のひとではないかと、ずっと想像していた。だが今回クリニックに参加して、パナ氏の人間性が、私の想像していたものとはまったく違っていたことに驚くと共に、ますます引きつけられてしまうのである。

 しかしクリニックでは、私の基本的演奏法や楽器自体にも鋭い指摘を受けて、自分の未熟さに落ち込んだのも事実であった。そこから元気を取り戻せたのは、広島のたくさんのパンフルート愛好者の皆さんのおかげであった。N先生やSさんやKさんをはじめみなさんのパンフルートに対する愛情を感じてしまったのである。そして私にとって憧れの人、雲の上の人、いつかはお会いしたいとパンフルートを吹き始めたころから思っていた、日本のパンフルート演奏のパイオニア、岩田英憲さんにご挨拶できたことは、まさに「感激」であった。

 なんだか一気にパンフルート仲間が増えた気がして、本当にうれしい一日だった。それから今回のコンサートはチャリティコンサートだったのだが、その関係者の皆さんの心意気というか、物腰にも感銘を受けたのであった。

 今回出会った皆さんとの縁を、大切にしていきたいものである。

13日は岡山市の隣、瀬戸内市にある音楽ホールでコンサートを行った。会場に集まったお客様の半分が、以前に私の演奏をご覧になったことがある方々で、「また聴きに来てくださった」そのことがうれしくて、エンジン全開でコンサートを行った。

 コンサート後半は、地元の邑久高校の女子高生のピアニスト(大学の音楽科の試験に直前に合格が決まり、めでたいのである!!)とともに、クラシックや童謡・唱歌など、会場全員での合唱もあり、盛り上がってコンサートを終えることができた。

 10日も13日も思い出に残る日となった。「音楽って演奏者と聞き手をつなぐ架け橋になったときに、そのすばらしさを感じられるんだな」ということをあらためて感じることができた二日間であった。