曲がるパンフルートの構想は5年前くらいから、私の頭のなかにあった。写真ではわかりにくいかもしれないが、竹管を固定しているのは、紐のみである。だからこのパンフルートは、竹と紐と詰め物だけで出来ているので、非常に軽いのである。22管(G~G)で300グラムであった。 ちなみに私がコンサートで使っているS20管(G~E)は400グラムあった。  曲がることのメリットは?そもそも備前の風が直線的な竹の配列になっている大きな理由として、両面どちらからも吹けるようにしたことがあげられる。世界中のパンフルートの95%以上が右低音(ピアノと逆向き配列)になっているのではないだろうか。ルーマニアのパンフルートが伝統的に右低音になっているからだと思う。

私は「パンフルートを知らない」所から、作って演奏を始めた者なので、右低音でも左低音でも好きな方で吹けるようにしようと、直線的な配列のパンフルートを作ってきた。
しかしルーマニア式(?)、つまり世界中のパンフルートのほとんどが持つ、竹管の配列の「カーブ」には魅力を感じている。曲線の美しさと、演奏性能の高さは見逃せない。
特に、忙しく管を移動して演奏する曲の場合は、カーブした配列のパンフルートの方が楽に演奏できるのは間違いない。
ひとつのパンフルートで、「吹く向きを選べ、つまりは逆向きも演奏可能ということ」と「カーブの配列」、このふたつを叶えることが出来る。そんなパンフルートが作れるだろうか?
そしてその夢を形にした試作品が上記の写真である。つまり、上記のパンフルートは逆向きに曲げることも出来るのである。そしてカーブの度合いは自由に調整することが出来る。

うーん、自分で作っておきながら、びっくりである。グニャリと曲げられる楽器なのである。もしかして、こんなパンフルートは世界初かも?

しかし、まだまだ改良の余地はある。もう少しレベルアップしたうえで、夏ごろにでもラインナップに入れられたらよいのだが。